5月20日大阪市会教育こども委員会。
- 直樹 武
- 5月23日
- 読了時間: 4分

「中央図書館業務の混乱」について質疑しました。
同じ委員会で、渕上委員より「市立小学校の給食で委託事業者の変更によるトラブル」の質疑もありました。
単なる価格競争だけでは、うまくいかない、委託事業の品質確保の難しさを示す事例です。業務停滞は利用者への直接的な影響が大きいです。
これまでも、福祉関係の専門性が高い委託業務において、同様のお声をいただいてきました。苦情をいただいても委託をしているので、大阪市としてできることが「改善の指示」が中心となるジレンマもあります。
返却棚が満杯、貸し出しに長期間…大阪市立中央図書館で業務停滞 新業者に交代の4月から
「米がじゃりじゃり」大阪の小学校で給食に問題相次ぐ 弁当の児童も
Q
4月に、中央図書館の窓口業務の受託事業者が交代し、その影響で予約をしている本が今までは1日か2日で届いていたものが届かないというお声をいただいている。
例えば、4月8日に予約した本が4月28日になっても届いていない。この時点で5月1日でしたので、なぜなのか理由もわからないとのことでした。20日間もほったらかしになっている状態でした。最近でも、私の友人からですが、4月29日に予約した本が5月16日現在も届いていないお声をいただきました。その後18日に届いたとのこと。
5月2日にやっと、図書館ホームページで状況が周知されましたが、この混乱は新聞、テレビ、ネット上でも話題になり、SNSでは5月3日に「大阪市立中央図書館」がトレンド入りしたそうで、「異常事態」「よっぽどなんだろうな」「利用者が困っているのに手が出せないのか」「困るのは市民」など、驚きや心配の声が広がっていると報道もありました。
再度、確認ですが、なぜこんなことになっているのか?現状どうなっているのか?どのように対応し、改善されているのか?お答えください。
A
・4月以降、返却された図書を所定の位置に戻す作業と、予約された図書を書棚から抜き取る作業が大きく遅滞し、図書館資料の提供に著しい支障が生じている。
・受託事業者には、業務に必要な人員を確保するとともに、業務への習熟に向けて対応するなど、業務改善を強く指示している。
・あわせて、お急ぎの図書の探索や、よりスムーズな作業のための手順の助言など、市民サービスの円滑化に向けて図書館の職員全体で対応しているところ。市民のみなさまに多大なご迷惑とご心配をおかけして申し訳ない。
・滞っていた業務の状況は、予約された図書を書棚から抜き取る作業が処理ができず一番多い時で約1万件ほど滞留していたのが、5月16日時点で約2,700件まで減少するなど、全体として改善に向かいつつあり、経常業務への必要人数の配置と業務への習熟が進むにつれ、徐々に資料提供は正常化するものと見込んでいる。市としての責任を果たしていく。
要望
「予約された本を迅速に貸し出せない」「返却棚が満杯の状態が続いている」のは、専門性が求められる図書館業務に対して、作業に不慣れなことや、人員が足りないことで、業務の引継ぎや運営に課題が生じていることが原因である。
1万件の滞留はなかなかな滞留。16日時点で2700件とまだまだ多いですが、これはもう対応していただくしかないので、市の責任としてしっかり対応することを要望。
しかし、市の責任として、図書館職員全体で対応しているとはいえ、契約で業務を委託しているため市の職員が当該業務を行うことができず、事業者に業務の改善を指導するしかないジレンマもある。
そもそも、2007年度から2024年度まで17年にわたりこれまでの事業者さんは、それなりに市民から高い評価を受けて事業を実施してきた。
今回、新たな委託業者さんは、予定価格を大幅に下回る金額(約4億2200万円)(予定価格が5億7,204万)で落札したため、人員配置や業務体制に影響を及ぼしているのではと指摘されている。
図書館業務の委託は、コスト削減だけでなくサービス品質の維持・向上が求められる。図書館は地域住民の重要な情報拠点であり、たんなる最低価格落札方式ではなく、やはり業務の品質評価を重視した「総合評価方式」などの検討が必要。
専門性が高い委託事業の公募の在り方については、これまでも課題について他の委員会でも指摘してきましたが、今回の件は、まさに、専門性が高い委託事業の品質確保の難しさを示す事例。
業務停滞は利用者への直接的な影響が大きいため、この事例をしっかり検証し、今後の公共サービスの委託の在り方を考えていただくこと要望。